

こないだ、マーケティングの基本について話をしてもらったけどさ…。

そうやったか?
あんまり…覚えとらんわ。

そうなの?
ほら「ベンツマーケティング」って教えてくれたじゃん?

…それ、基本ちゃうからな。

まぁ…確かにそうか。
逆にさ、今回は基本を教えて欲しいんだ。

お前、自分で勉強してたんちゃうか?

まぁ…ほら?復習も兼ねて、みたいな。
お願いします。

都合のえぇ奴やな…。
マーケティングのいわゆる「基本」となる、一般的な話をすればいいんやな?

そうそう。
よろしく頼むよ。

マーケティングの解釈っていうのは、正直色々ある。
せやけど一番スタンダードなのは、やっぱり『売れる仕組みを作ること』やと思ってるで。

『売れる仕組み』かぁ…。
確かにそんな解釈、どこの本とかでも多かった気がするよ。

その中で大切にしなきゃいけない考えは、問題や課題の『センターピン』を探すということやな。

…センターピン?

そうや。
ボーリングにもセンターピンあるやろ?

…それを探すって、どういうこと?

ボーリングだと、そのセンターピンを倒すことってかなり大事やろ?

確かにストライクに繋がるかどうかって言うのは、大きく関わってくるね。

それと同じで、先ずはそこが『問題の本質や中心』ていうところを見抜く必要があるねん。

…どうやって、探せばいいのさ?

何でも聞くのぉ…。
まぁ、大事なことは『お客様目線』を徹底することなんちゃうかなと思うで。

お客様目線かぁ…。

作り手はどちらかというと「自分目線」になってしまうことが、どうしても多い。
自分が『お客様の立場』として考えるっていうのが、一番大事なんかなと思うわ。

確かに。
作ってるうちに自己満足に走っちゃう…なんてことは、あり得そうだね。

そして、その中で作り手が作ることに飽きてしまう。
「もうこれ以上改善は出来へん」ってなってしまうと、結局はイノベーションが止まるんやな。

うん。確かにそうだね。

マーケティングっていうのは、結局「相手に知らしめること」って言うニュアンスが強いわけよな?
誰かに『いいイメージを持ってもらう』ことに加えて、その『いいイメージを超える製品を作る』っていうことが、最終的には企業の使命であり、マーケティングの本質になるんちゃうかなと思うわ。

大事なのはまず知ってもらうこと、そしてその知ってもらった期待を超えることかぁ…。

まぁそういうことやな。
何となくは、その辺の考えは理解出来るな?

実際マーケティングって、僕が勉強した中では「ペルソナをはっきりさせる」みたいなことが多かった気がするよ。

まぁ、それも間違ってはいない。
ただ、一方で「絞る」だけやなくて「広げる」っていうこともマーケティングやねん。

反対の意味のやり方もあるんだね。

そうやな。
「差別化」を図る時には絞っていくべきなんやろうけど、対象者が少なくなりすぎるっていうデメリットもあるわな。

まぁ確かにそうだよね。
対象者を広げるマーケティングも、必要になるわけかぁ…。

そうやな。
そのためには、先ずは「情報分析」を徹底せなあかんわ

データやアンケートを集める…みたいなことね。

そこを怠ってはあかん。
余計なことはしないで大切なことに集中するためにも、まずは情報を集めることやな。

うん。
僕はその辺のこと好きだけど、きっとあんまり好きじゃない人もいるよね。

まぁ、そうやろな。
大切なのは、そのマーケティングっていう業務を「楽しめるかどうか」にもよると自分も思うわ。

確かにせっかく良いモノが出来ても、全然売れなかったら面白くないもんね。

…良いモノが売れるんちゃうんやけどな

え?どういう意味?

「売れたものが良いモノ」なんよ。

あぁ…そういう逆説的な考えか。
さっき期待値の話でも出てきたけど、やっぱりそこも考えるのが大事なのかな?

めちゃくちゃ大事やと思うで。
結局、顧客満足って「提供された価値」から「事前の期待値」が引かさって出来上がるものやからな。

その辺のコントロールも、確かに大事だね。
良い商品を作れば、何でも売れるっていう時代じゃないのかぁ…。

まぁ…もっと言うと「自分のところが売れればいい」っていう考えも、もう古いのかもしれんわ。

えっと…。
どういう意味?

「業界全体で盛り上げていく」ぐらいのニュアンスがないと、結局は市場が広がっていかんのよ。

うーん…。

理解出来んか?
「他社の商品が買われると、自分たちの商品の価値も上がる」みたいなイメージなんよ。

ちょっと難しいなぁ…。

開発の対象が「商品」だけでなく「顧客」を創造していくっていう視点も必要になるんやけど…。
まあ、この辺は少しお前にはまだ難しいのかもしれんな。

商品開発と顧客開発は違う…まぁ、なんとなくわかるけど。

今使ってないとしても、将来使うかもしれん顧客を作り出すことが大事なんよ。

…大人だけじゃなくて、子供にもみたいなこと?

まぁそれも一つの考え方やな。
ニーズを作り出せば顧客が出来上がる、顧客が出来れば自社の商品が売れる…このことをしっかりと考えなあかん。

商品やサービスを使う顧客を作り出すか…。
その視点はなかったな。

まぁ、あくまでも「モノを作る」っていうのは「顧客を作る」っていう『目的に対する手段』でしかないっていう考え方や。

目的と手段…。

『手段』と『目的』の認識、そしてそれを履き違えないこと。
これは、めちゃくちゃ大事やからな。

基本的なところでも、やっぱり難しいね。

その分、面白いことやと思うんよ。
「イノベーション」を起こすことにも繋がるしな。

イノベーションかぁ…。

新しい価値を作り出して、社会に何か変化を生み出す…ということにも繋がるやろ?
結局それが「顧客を作る」ことであり「商品を開発する」ことにも繋がるんちゃうかの。

…確かに、そうだね。

顧客が気づけないニーズを開発出来れば、それはもう大成功やと思うで。

ふむふむ。

一方で「商品を中心に考えると失敗をする」っていうのは、よくあるパターンやな。
あのApple社でも失敗してるわけやから。

なんか聞いたことあるなぁ…。
ジョブズがAppleに帰ってきて、自社製品を結局絞り込んだ…みたいな話だっけ?

そんなところやな。
「商品のスペックに重きを置いて、顧客ニーズを捉えきれなかった」っていうことに、繋がるみたいな話や。

「お客さんが言うことが正しいわけじゃない」って、TOMOも口酸っぱく言ってるもんね。

顧客の言いなりになったり、市場の反応ばっかり見てるのも正しいとは限らんのよ。
そこにこだわり過ぎると、痛い目に遭うわな。

…マーケティングの基礎の話を聞いたはずなんだけど、ずいぶんと話が展開してくね。

全ては「市場を見る」「情報を集める」「新しい創造をする」と繋がっていくわけやからな。
基礎といっても、その分深いんや。

…難しいけどやっぱり面白いな。
もう少し自分も勉強していかなきゃいけないと、改めて思ったよ。

その心意気があるんやったら、今日話した甲斐もあるわ。
