

宿題、イロイロ調べてきたよ。

おぉ、お疲れ。
どないやった?

うーんそうだねぇ…。
やっぱり「若手」と「年配者」の感じてる部分の隔たりみたいなのは感じたかなぁ…。

ふむふむ。

若い人は『動機』はもちろん大事だけれども…それは『環境』ありきみたいな考えが多かったなぁ。
年配の人は何よりも『動機』が『環境』を凌駕する…みたいな考えっぽかった印象。

まぁ…そうやろな。
おそらく世の中は大体そういう風になってるわ。

…やっぱりそうなんだ。

あぁ。
せやからお前の会社は、至って『普通』っちゅうことやな。

うーん…。
でも実際、もっと良い状態に持っていけるわけでしょ?

せやな。
ほんなら仕組みをもう少し詳しく教えて、やり方を最後に説明したるわ。

うん。わかった。

『動機』と『環境』については前回説明しとるよな?
これらは互いに補完し合うカタチや。

うん。
どちらかだけがあってもダメなんでしょう?

そうなんやけど…。
世の中はどちらかというと『動機』の方に重きを置いている会社が多いわけやな。

…まさにウチだね。

「達成」や「承認」といった『動機』は、実際の仕事の満足度を高める上で間違いなく重要や。
ただそれはある程度『環境』が満たされているっていう実態に乗っ取って成立しとんねん。

…その感覚が、年配の人にはあんまりないんだろうね。

『動機』に重きを置いているから、そういう風に若手のケツを叩いても…。
「残業時間をどうにかしろ!」とか「給料を上げろ!」みたいな形で、『環境』が整っていないと不満の原因となってしまうんよ。

うん。
わかるわかる。

ただ、注意せなあかんのは『満足の反対が不満足ではない』ということや。

えっと…どういう意味?

「不満」が無くなることは実現したとしても、それが「満足」という意味ではないってことよ。
環境の整備で前回教えたやんか?

…どんなんだったっけ?

人はある一定の満足感を得たら、それ以上のものを与えても効果は薄いんや。
例えば年間休日は少なすぎてもあかんけど、増やしすぎても特別な効果はないってことや。人はその状況に慣れてしまうからな。

あー。
そうだっけ。

だから『環境』の問題をある程度解決して、不満が少なくなった状態で『動機』を満たすっていう二段階のやり方が必要やねん。

そうか…。
これをどちらかというと『動機』のみでなんとかしようとするから、歪みが生まれちゃうのか。

せやな。
若い人から見ると『環境』っていうのは「きちんとしていて当たり前」って解釈されがちや。

まぁまぁ…そうかもね。

年齢がある程度上の人は、そういう風にはあんまり思ってないことが多い。
このズレが結果として「労働環境が改善されへん」っていう原因になるんよ。

巷では『やりがい搾取』みたいに言われるよね。

まさに『動機』のみを満たそうとして『環境』が満たされていないっていうことが原因なんよな。
昔の人は『動機』があれば『環境』は凌駕出来るってどうしても思いがちやねんけど、今の時代はそうじゃない。
更にもう一歩踏み込むと『環境』が良ければ若者だって仕事を続けるわけちゃう。やっぱり働く『動機』は欲しいからな。

うーん。
そうかぁ。

『環境』をある程度整えて、その後に『動機』を与えるっていう姿勢がどうしても必要なんよ。
逆に『環境』ばっかり整えても麻薬と同じでさらに欲しくなってしまうから、企業にも整える限界はあるはずやで。

ちゃんと手順を踏んで、労働環境の整備をしなきゃいけないね。

そうや。
まずはしっかり基本を理解して、順序立てていろいろ改善していって欲しいわな。

うん、分かった。
ありがとう。
