

なんだかイライラするー。

珍しいなぁ?
どないした?

同じ部署に正論ばかり言う人がいてさ…。
どうも自分とはウマが合わないんだよね…。

…お前がそんなこと言うのは珍しいのぉ。

まあ…僕も人間だからね。
合わない人はいるよ。

でも相手が言ってるのって『正論』なんやろ?
…お前が間違ってるんちゃうか?

まさかTOMOから、そんな風に言われるなんて…。

いや…。
だって相手が話しているのが『正論』なんやろ?

まぁそれはそうだけどさぁ…。
「正論って通じない」ことだってあるじゃない?

…その通りや。

えっ?

正論を振りかざす人は『正論こそ正義』やと思ってるけどな。
実際はそうでもないんよ。

お、そうなんだ。
いいこと聞いたよ。

人間はそもそも合理的ではないから、非合理的な行動をとることだってあるわけよな。

そうそう。
その通りだ!

まぁ…ちょっと落ち着いて、正論について考えてみようや。

わかったよ。

そもそも別に『正論』は悪いことやないんやで。

そうだね。
まぁ基本的に「正しい」と思われることが、中身だもんね。

一方で「正論が通じない人」がいることも事実やねんな。

うーん…そうだね。
なんでなんだろう?

『正論』っていうのはある程度「論理的に説明」しやすかったり「文化」として定着していたり…ってことが多いわな。

文化?

会社独特のルールみたいなものも『自分』は正論と考えている。
あくまでも「その会社では」正しいってだけで、他ではどう評価されるか知らんけどな。

…それも「正論」のカテゴリーに入れるんだ。

どちらかというとみんな『論理』だけを考えているかもしれんけれども、自分はそう捉えている。
そもそも論理は強力なツールやねんけど、使い方やタイミングによって効果や半減してしまうんや。そこを正論者はあまり理解していないことが多いねんな。

使い方にタイミングかぁ…。
もちろん「話し手」や「相手」にもよるよね。

せやな。

逆にどんな場面で「正論が弱い」のかな?

そうやな…。
「正論に疑問を持つ人」や「正論を理解する能力がない人」、「正論を守る気がそもそもない人」や「正論の話し手を信用していない人」なんかには効果はあまり期待出来んわな。

…結構いるねぇ。

正論は一見すると口を挟む余地はないねんけど、ちょっと考えたら「おかしいなぁ」なんて思うところはやっぱり出てくるのよ。
そこに疑問を持つ人は正論をすぐには受け入れてくれんやろな。「文化」としての正論も、すぐには受け入れられんっていう人もまぁまぁおると思うで。

ふむふむ。

他にも「そもそも正しい」と頭で分かっているとしても、それを守ろうとする気がない人だっておる。
あとは話し手が正しいことを言ってたとしても、話し手の『信用』で結果が変わってくることも十二分にあり得るわな。

うーん。
全部ありそうだねぇ。

ホントその通りやねん。
『論理』は強力なツールやねんけど、「使う相手」や「使うタイミング」で大きく効果が変わってくるんよ。

…何か対策はないのかなぁ?

対策としては本質的に『話し手の信用度合い』で相手の解釈が変わってくるだろうから、先ずはは「相手にどれだけ信用されるか」ってところが大きいと思うで。

そっか。
やっぱり『信用』なんだね

「話している中身がどれだけ正しい」か…以上に「話し手が誠実に対等に接してくれてるかどうか」は大事やな。
残念やけども「話の内容が正しければ、誰でも聞いてくれる」ってわけではないねん。それは頭に入れておかなあかんな。

話す内容はもちろんだけれども、『話し手としての信用』を自分も培っていかなきゃいけないなぁ。

…お前の同僚は、きっとそれが足りてないんやろ。
違うか?

あっ…えっ…うん…。
…さぁ!仕事、仕事!

…図星やな。
