

TOMOってさ、『抽象化』って言葉よく使うよね?

抽象化?

うん、話を聞いてるとよく出てくる気がするんだけど…。
自覚はないの?

いや、メッチャあるで。
『抽象化』は大事や。特に「イメージと違って」ってところがポイントなんや。

へぇ、そうなんだ。
「抽象化」の反対って「具体化」だよね?

そうやで。

イメージだとやっぱり具体の方が大事というか…。
相対的に「上位」みたいな感覚を、みんな持ってそうな気がするんだけど?

あぁそうやな。
だからこそ『抽象化』って大事なんよ。

…ちょっとそこまでピンとこないけど。

性格が真逆のものやからな。
もちろん必要な場面によって「具体化」の方が大事っていうこともあるけど、そこまで「抽象化」って蔑ろにされるものでもないし、上手に使えた方がいいものやねん。

うーん…。

どないした?

いや、やっぱり完璧に理解するのは…。
それなりに時間が掛かりそうだなと思って。

せやな。
自分も「完璧に使えてるか」って言われるとそこまで自信はないけど、大体の所やったら教えてやれるで。

じゃあ今日はその辺、軽く教えてよ?

そもそも「具体的」が必要な場面より、「抽象的」が必要な場面の方が圧倒的に多いのよ。

そうなの?

せやで。例えば何か人と話をするときに小数点第2位までの正確な数字と、上から2桁のざっくりとした数字。
どっちが必要な場面が多いかって言うたら…?

確かに細かいところは置いといて、『ざっくりとした感覚的な数字』が必要な場面の方が多いかも。

せやろ?
『具体的』っていうのはどちらかというと絞るっていう感覚やから、「もう例外を許さない」っていう話になってくるのよ。

うーんと…。
じゃあ逆に言うと例外があると…?

その話はまだまだ「具体的になる」っちゅうことよ。
でもそんな細かいところは、普段から必要とする場面ってあんまり多くないやろ?

確かに。
「とりあえずざっくり」とみたいな話してる方が全然多いね。

そう考えると「抽象化」っていうのは、普段の生活においてすごく大切なはずやろ?
けども、みんなそこまで意識してないのよな。

なるほどね…。
『抽象化』にはどういう特徴があるの?

いくつかあるけども、さっきも言った『概念』っていうなところがまず第一やな。

概念かぁ…。

難しく考えないでえぇで。「ざっくりと」とか、「こんなイメージで」って話を出来る人は「抽象化」もしっかりと出来るねん。
「具体的なデータや事実がないとうまく喋れへん」ってのは、その「抽象化」のスキルがあんまり高くないな。

なるほどね。

さらに言うと「抽象化」っていうのは、『出来る限り共通点を探す』っていう特徴もある。

共通点を探す??

あらゆる事象から「今回こういった結果になったのは、こういう共通点があるからではないか」みたいな仮説を立てたりするには、『抽象化の能力』ってのはすごく必要になってくるで。
ただの「事実を事実だけでしか見れん」と。そこから学べることは多くないからな。

なるほどね。
「事実から何かいくつか適当に抜粋してくる」みたいなイメージかな?

そんなんで全然構わん。
そうやって可能性をどんどん広げていって、細かいところにこだわらないで「全体をマクロの目で見る」っていう感覚が抽象化の特徴や。

そっかそっか。
確かに普段仕事していると、どちらかっていうとそういう場面の方が多い気がする。

もちろん「具体化が悪い」って言ってるわけではないで。
「細かいところまで決めていく」っていう時には、具体化が必要になってくるのは当たり前やしな。

でも仕事ってどっちかっていうとふわっとしてたり、ざっくりしてる中で進むことの方が多いもんね。

そうやな。だから物事を考える上で「抽象化」のスキル、いわゆる『広げていくスキル』っていうのが大事なのよ。
「具体化」はその逆で『縮めていくスキル』なんよ。

でも、世間一般の「抽象化」のイメージって…。
「抽象的で分かりにくい」とか「はっきりしない」とかだよね?

まぁ…特徴的にそういう風になるのはしょうがないよな。
具体的だと「限定」だから物事がはっきりするけれども、抽象的って「見える人には見えるし、見えへん人には見えない幽霊」みたいなもんやからな。

あぁなるほど。
見える人には見えるけど、見えない人には見えないかぁ。

そこが一人歩きして「よく分からない」っていうふうに言われがちやねんけど…。
そもそも抽象化っちゅうのは、普段生活したり仕事して行く上で間違いなく必要なスキルなんよ。

そっか。
なんかちょっと良くないイメージで使われている言葉だけれども、考え方によってはすごく大事そうだね。

大事なんや。「抽象化」もうちょっと使ってやってくれや。
ざっくりとこんなところかな?

うん。
ざっくりとわかりました。
