

最近、また新しい研修案を任されてね。

採用だけじゃなくて、研修を担当することも増えたのぉ。
今回はどんな研修を考えとるんや?

「新しい管理職の考え方」っていうテーマなんだよね。

どういう意味で「新しい」んや?

いわゆる「背中で教える」みたいなタイプじゃなくて、しっかりと「伝える」っていう感じかなぁ。

ほぅ。
それは、お前が提案したんか?

まぁね。
これからの管理職やリーダーは、以前にも増してそういうスタイルが必要かなって。

なるほどな。
んで、今日の話って言うのは…?

ざっくりとは頭で思い描いてきてるんだけど…。
足りないところを、TOMOに補足してもらおうと思って。

…そうか。
別に構わんで。

ありがとう。これからのリーダー像は『共感型』になると思っているんだ。
部下を率いていくイメージより、いかに「部下と目線を揃えて」考えられるか…って感じかな。

ふむふむ。

誰かの考えを変えるのは、もちろん難しいことだから…。
まずは、自分自身がそのカタチを目指そうとも思っているよ。

なるほど。
えぇ心がけやないか。

そのための行動としては、何が一番必要かなぁ?

それは…やっぱり「挫折経験」やと思うわ。
人の痛みを、どれほど知ってるかやな。

挫折経験かぁ…。
もちろん僕にもあるけど、より多くの挫折を経験するには…?

新しいことへ、積極的にチャレンジすることになるやろなぁ。
その中で「痛み」や「苦しみ」を知ることが、将来的に部下の気持ちを理解する助けになるやろな。

となると…新しいリーダー像を実現するには、部下の立場の時から色々なチャレンジをしていかなきゃいけないなぁ。

まぁ…そういうことになるな。
中期的な育成のプランが、必要になるやろな。

役職が付いて、急にそれっぽく振る舞おうとしても難しいもんね。
…下手をすると、間違った形で「権力」みたいなのを振りかざしそうでちょっと怖いね。

確かにな。
それっぽい振る舞いを勘違いして、エラそうな態度を急に取ると人の気持ちは離れていくやろな。

そうならない様に、注意して中期的な育成をしないといけないね。
…他には、何か気をつけるべきことはあるかなぁ?

人の心を動かすには、日々考えて常に勉強する姿勢は大事になるやろうな。
…まぁこの辺はある程度当たり前として、意識すべきは『人格の固定』やと思うがの。

…人格の固定?どういうこと?

人によって厳しくしたり、笑顔を振りまいたり態度を変えることをしないってことやな。
人は千差万別やから、都度対応を変える必要性ももちろんあるとは思うけど、かなり難しいから「固定」した方が自分を苦しめんと思うで?

なるほどね…。
八方美人と言うか「〇〇さんには優しいのに、自分には厳しい!」みたいなのは、対処が面倒な部分もあるもんね。

まぁ、そういうことやな。
切り替えが上手く出来るんならもちろん構わないんやけど、「贔屓」や「差別」と捉える部下が出てくるようなら、最初から全員に同じ態度を取った方がえぇわな。

冷静な感じにしていくのか、和気あいあいといくのか、それとも…。
その辺は、個人のキャラクターや資質もあるかもね。

せやな。
ただ態度はどうであれ、しっかりと部下に興味を持って接するってことは当然のこととして実践せなあかんけどな。

そうだね。
そこがブレると、リーダーとしては失格になってしまうね。

人は「自分の話を聴いてくれる人」に対して信頼感を持つってのは、以前から何度も教えているよな?

そうだね。
大事なことは「話すことより『聴く』こと」なんだよね?

そうや。
人の上に立つとどうしても話すことに気を取られがちやけど、大事なことは8:2で『聴く』ことやで。

8:2のパレートで『聴く』が大事ね。
忘れないようにしないと…。

一方で分かりやすい説明、つまりは「話すこと」も当然レベルアップが求められるで。

そうかぁ…。
確かに専門用語や横文字を頻繁に使う上司には、あまり相談したくないかもなぁ。

『目線を合わせる』って最初に言うてたけど、それは普段の話す言葉にも表れるはずや。
しっかりと相手のことを考えて、必要に応じた説明が出来るスキルも『聴く』ことに加えて大事やな。

なるほどね…。
よし、今日の話を基に研修資料をもう少し詰めてみるよ。

そうか。
ま、何かあればまた相談しに来たらえぇわ。

わかった。ありがとう。
