

最近、調子はどうや?

うーん…。
あまり良いとは言えないかな?

そうなんか?

なんかイロイロ勉強すればするほど…。
難しかったり、よく分かんなくなってきたりしてるような気がして…。

大人になってそれに気づいたとしても、「学べる時間」があるのは幸せなことやんか?

まぁ…そうだけどさ。

ほな、そこに新しい理論を教えたるわ。

…また勉強ですか?

…毎日が勉強や。

で、今日は何を教えてくれるの?

今日話すのは『プロスペクト理論』やな。

…横文字かぁ?

まぁ、そんなに難しい話じゃないで。

そうなの?

まぁ、最終的には…。
『人間が不合理である』っていう風な話になるな。

…結構そういう話多いよね。

そうやな。
人間ってのは本来『不合理』なのに、『合理的』だと思い込むことで様々な弊害があるからな。

…人間は不合理ねぇ。

そうやで。
例えば、お前の給料が今月から5万円増えたらどう思う?

えっ、理由は?

この場合の理由は置いといてや。

5万円増えたらそりゃうれしいよねぇ…。
あれ?それって手取り?

まあ、その辺はどうでもえぇねん。

そうなの?

じゃあ、逆に5万円減ったらどう思う?

え?なんで減ったの?

だから、理由は置いといてや。

そりゃ厳しいな…。5万円でしょう?
色々と削らなきゃいけないもの出てくるし…。いや、そもそも生活費足りるのかな?

+5万円とー5万円。
数字上だと、プラスとマイナスの値は一緒やな?

…確かにね。

で、どっちが感情が揺れ動いた?

…感情が揺れ動いた?

「+5万円の気持ち」と「ー5万の気持ち」
全く一緒だったか?

いや、全然違うよ。
ー5万の方が、感情が動いたよ。

せやろ?
それがプロスペクト理論や。

え、どういうこと?

数字の変化がプラスとマイナスが同じであるならば…。
人間が合理的である前提なら当然感情の変化も同じになるんやけども、実際はそうはいかん。

なるほど。
マイナスの方が、感情に変化が大きいってことね。

そういうことや。
同じ数字なのに「マイナス」の方に人は大きく反応すんねん。

はぁ、なるほどね。

これを利用すると、こんなこともできる。

こんなこと?

人は「1度手にしたものを失う」っていう行為を嫌う生き物やねん。

それは…。
持っているっていう状態から無くなるってのが「マイナス」ってことね。

もの分かりえぇやん。
ということは「人は持っているものを手放したくない」いわば、自分の持っているものを過大に高く評価するっていう生き物ってことになるよな?

うんうん、話は分かるよ。

だから…。
「持っているもの」には勝手に補正が入ってるねん。

なるほどね。

そこを第三者として、適切に評価してやる必要があるっていうのも頭に入れとかなあかんで。

ふむふむ。

人はな、本当にマイナスを極端に評価してしまう生き物なんよ。
