~人間は『不合理』という前提で考える~

人間心理
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ワタシ
ワタシ

人事部に技術部から新しい人が異動してきたんだけど…。

TOMO
TOMO

ほぅ。

ワタシ
ワタシ

既に人事部にいる人と、あんまり折り合いが良くないんだよね。

「常識が通じない」みたいな評価をされてしまっている感じ…。

TOMO
TOMO

…何があったんや??

ワタシ
ワタシ

元々人事部にいる自分の同僚が、異動してきた彼に新しいシステム導入の話をしたんだ。

TOMO
TOMO

システム導入?

ワタシ
ワタシ

そう。

まぁ、実際最近はオンラインでの仕事が増えてるし、今のシステムではリモートで仕事をする際に課題もあるしね。

TOMO
TOMO

ふむふむ。

ワタシ
ワタシ

それで部門っ…てかその担当者がいくつか業者の話を聞いて「これが良さそう」というシステムに巡り合ってね。

オンライン会議も説明会アンケートも資料共有も出来るし…。

TOMO
TOMO

おけおけ。

それで?

ワタシ
ワタシ

いや…あの…。

TOMO
TOMO

ん?

ワタシ
ワタシ

異動してきた人もそんな感じでイマイチの反応だったみたいでさ。

それで、最初に話した折り合いが少し悪いみたいな話になっちゃて…。

TOMO
TOMO

ま、そんなとこやろうと思うたわ。

アホらしいのぅ…。

ワタシ
ワタシ

「せっかく良さげなシステムなのに、どうして理解しようとしない」

みたいに少し裏で色々言ってるみたいで…。

TOMO
TOMO

そもそも人はそんなに合理的じゃないからの。

ワタシ
ワタシ

…どういう意味?

TOMO
TOMO

今の話だと、そもそも課題を明確に感じているのはその担当者だけなんちゃうの?

…お前はどうやねん?

ワタシ
ワタシ

まぁ自分も必要だとは思うけど…?

TOMO
TOMO

完全に賛成でも反対でもないと。

そしてさっきの話は、そのシステムを具体的に使った上での確定意見では…?

ワタシ
ワタシ

ないかな。

TOMO
TOMO

で、異動してきた人になんやかんや言って…。

「とりあえず一度使ってみてから…」みたいな話にしとるんやろ?

ワタシ
ワタシ

う、うん。

TOMO
TOMO

…その担当者はとことん面倒な奴やな。

それに流されるお前も同罪や。

ワタシ
ワタシ

そ、そんな…。

TOMO
TOMO

異動してきた人はな、そのシステムに興味はないで。

でも異動してきた建前もあり、既に在籍しているお前らの顔を立てようと気を遣ってくれてるわ。

ワタシ
ワタシ

…。

TOMO
TOMO

お前らの抱えている「課題」ってやつを、どうしてそんなにすぐに理解出来んねん?

まだよく分からない中で矢継ぎ早に説明されても、理解が深まるわけないやろ?

ワタシ
ワタシ

ちょっと待ってよ。システムに課題があるのは自分なりに理解してるし、普通にウチ会社にいれば感じると思うよ。

メリットのある話を面倒だからって拒否するのは合理的じゃないと思うけど?

TOMO
TOMO

だから言ったやろ?

人間ってそんなに合理的じゃないんやて。

ワタシ
ワタシ

…非合理的という事?

TOMO
TOMO

そういう一面も大いにあるってことや。

ワタシ
ワタシ

うーん…。

TOMO
TOMO

…お前は税金たくさんを納めるの好きか?

ワタシ
ワタシ

…そんなわけないでしょ。

なるべく減らしたいよ。

TOMO
TOMO

じゃぁ節税したいわな。

医療費控除にIdeco、ふるさと納税に…。

ワタシ
ワタシ

え?

TOMO
TOMO

税金を払いたくないなら覚えておいてもらわなんとな。

そもそも給与所得者は自営業者と比べて節税の方法が難しいから…。

ワタシ
ワタシ

た、確かにそうだけどさ。

自分は細かいのあまり得意じゃないのから、コツコツ節約するぐらいなら成果をだして給与が上がった方が良いとか…ダメかな?

TOMO
TOMO

ほらな?

ワタシ
ワタシ

え?

TOMO
TOMO

合理的であるならば、人は税金を納めたくないのが自然やで。自分が自由に使えるお金が減るんやからな。

それなのに「面倒」だという理由で、節税の機会を放棄しているのは不合理だと思わんか?

ワタシ
ワタシ

それはそうだけど…。

それは人によって違うじゃない?考え方とか。

TOMO
TOMO

じゃあさっきのシステムの話もそうちゃうか?

誰かにとってメリットが労力を越えると判断したモノが、他人には違うことも大いにあるんやで?

ワタシ
ワタシ

うーん。

でも同僚は多分頑張りそうだなぁ…。

TOMO
TOMO

頑張る??

ワタシ
ワタシ

少し「正しさ」に突っ走る部分があるからさぁ…。

「伝え方の問題」って捉えて、伝え方の工夫を始めそうだなぁ…。

TOMO
TOMO

さっきの話は先ずそんなレベルの話じゃないで。

物事には順序とタイミングがあるんよ。

ワタシ
ワタシ

順序とタイミング?

TOMO
TOMO

相手がそもそも『受け入れる気持ちじゃない時』に何を話してもムダなんよ。

ワタシ
ワタシ

…今回で言うと異動して直ぐってこと?

TOMO
TOMO

あぁ。そっちまで気持ちが回らんわきっと。

それに提案の難易度自体も高いしな。

ワタシ
ワタシ

難易度?

TOMO
TOMO

相手に課題を理解して貰うのはもちろん…。

課題解決のプロセスと選択肢、さらにはメリットとデメリットや費用感まで含めて理解してもらうことがあるわな?

ワタシ
ワタシ

…確かに。

TOMO
TOMO

人は『言い訳の天才』や。

一つでも保留に出来る材料がある限り、人は不合理に保留したい生き物やねん。

ワタシ
ワタシ

うーん…。

TOMO
TOMO

『使ってみた感触が分からないから』『現状の課題を全て解決できるとは言えないから』『費用に対する効果が見えないから』

何でもえぇけど、全てを完璧にしていない穴が見つかれば人は保留してしまうわけよ。

ワタシ
ワタシ

…でもそれじゃあ結局、提案なんて永遠に通らないんじゃない?

TOMO
TOMO

だから『順序とタイミング』なんよ。

少なくとも異動してきた人に同じ課題を時間を掛けて共有してもらって、その中で解決の選択肢を少しずつ理解して貰わな。

ワタシ
ワタシ

時間掛かるね…。

TOMO
TOMO

そもそも人は合理的じゃない前提で考えなあかん。

みんなが合理的ならダイエットも禁煙も、貯金も税金の勉強もすんなりいくやろ?

ワタシ
ワタシ

…確かに。

TOMO
TOMO

自分が合理的に考えたモノが、他人にも同じ様に合理的に見えているとは限らないんやで?

先ずはお前の同僚と異動者含めて、ちゃんとコミュニケーションを取ることから始めたらどうや?

ワタシ
ワタシ

そっかぁ…。

TOMO
TOMO

その同僚はまだしも、お前はもう少し人間を理解して欲しいところやな。

ワタシ
ワタシ

う、うん…。

TOMO
TOMO

それなりに物事教えてんねん。

『正解』に惑わされずに、『人間』をもう少し理解しようと努力せぇ。

ワタシ
ワタシ

わ、わかったよ。