この本を読んで何よりも感じたのは、タイムパラドックス的な考え方を改めて整理しなければいけないということである。時間軸の考え方には、ある程度寛容性を持って自分自身は対応しているのであるが、この本を読んで自分の考えがまだまだであることを痛感したというのが正直な感想である。
主人公が出会ったさまざまな背景を持った女性たちは、彼女の未来の姿なのだろうか…と思うが、すべての世界線の中で一つの線上に同じ人生があるようには思えなかった。
別の世界線があって、それぞれこんな人生を歩んでいたら…という別環境の未来の自分がそれぞれメッセージを伝えにきたと私は捉えている。
どういうことかと言うと「人生の分岐点」というものがあり、その分岐点を別の選択肢を選んでいたら…?と仮定することは、誰しもが経験があるのではないかと思う。
ただ、一方で選択をしてない別の世界線は、正直なところ経験をしていないのでその後の未来がどうなるかは想像ができない。例えば、私は2020年に病を患っているのであるが、当然考えることは「病気になっていなければ…」ということである。
その選択肢を仮に選んだとしていて、幸せだったかどうかは結局のところ分からない。命を落とすということが最大の不幸であると仮定すると、もしかしたら2020年に病気になってない世界線においては、もう私は死んでいるのかもしれない…。
結局、選んでいない未来を確かに理想としてるのかもしれないが、その選択肢を選んだ後も人生がどのようになっているかわからないし、その先の選択肢がどのようになるのかということも想像すら出来ない。
話を本書の内容に戻すと、出てきた女性たちが同じ世界線を歩んでいるのか、それとも別の分岐として存在していてそれぞれのメッセージを伝えているのかは、本書を読み終えた段階では決定的な結論をつけられていないというのが実情である。
言ってみれば、そのような考え方を本書は持たせてくれた。その点については大きな勉強をさせてもらえたということに大変感謝をしている。
もし、自分が様々な世界線において存在した自分からメッセージを送られるとするのであれば、一体どのように考えるのだろうか?
はたまた、ある一つの世界線を今生きた自分がどこかの時点の自分にメッセージを一つ送るとするのであれば、一体どのようなものなのであろうか?
そんなことを本を読み終えながら、強く考えた。
そして、今の人生に感謝し病気という事実を受け止めて生きてきた自分を少し褒めてあげたいと思った。
本書、よろしければぜひ。