

最近メンタルダウンした社員との面談があったんだけど、色々勉強しても「自分はまだまだ」と感じさせられるよ。
人によってメンタルダウンの理由は違うし、対処の仕方も様々なことが難しさを感じさせるよ…。

「理由」は様々やろうけど、メンタルダウンの「仕組み」はほぼ一緒やで。
過去に負った「トラウマ」が、元凶になっていることがほとんどやねん。

そうなんだ。
じゃあその「トラウマ」をいかに取り除くのかって、話になるのかな?

いや、それはものすごく難しいからな。
むしろ「上手に折り合いをつける」って段取りを、個人にしてもらうことになると思うわ。

「折り合いをつける」って言うと、具体的にはどうすればいいの?

まずトラウマを守る「番人」を想像して欲しいんよ。
トラウマそのものではなく、その「番人」に対してのアプローチのイメージやねん。

自分とは別の人格、別の人って感じ?

そうやな。
その別人格の「番人」が、お前のトラウマからお前を守ろうとしているねん。

トラウマから、ぼくを「守ろう」としている…?

辛い思いをした「トラウマ」に現実が近づいた時に、その番人がお前をトラウマから遠ざけてくれるんよ。
「恐怖心」って手段を、お前に与えてな。

例えばぼくが「大勢の前で話すのが怖い」って感じるのは、その番人が何かしらのトラウマから「恐怖心」を使ってぼくを遠ざけようとしているイメージなのかな?

そのイメージの様に番人は「これ以上傷つかない様に…」という親切心から、お前に「大勢の前で話す」と言う行動を制限しているんよ。
時と場合によっては過保護で大きなお世話なんやけども、その親切心は「手段」を選ばんのよな。

ぼくの本心が「大勢の前で話せるようになりたい」だとしても、昔のトラウマが「人の前で恥をかきたくない」だとすると番人がブレーキを掛けるのかぁ。
その番人、今は必要ないような気がするなぁ…。

でも、その番人を「排除」すると衝突がきっと起きるやろうな。
「心を守る」って大事な存在であると共に、心の「トラウマ」が存在する限りはな。

そうかぁ…。
じゃあ「折り合いをつける」ってのは、具体的にどうするの?

先ずは自分のトラウマの「本質」を知ることから、話は始まるやろうな。
トラウマ自体を思い出すことはほぼ不可能やから、どういう時に心がざわつくのかの傾向を知るんよ。

…やっぱり子供の頃の出来事が、心に与える影響は大きいのかな?

そうやな。
だから番人は、お前を子供のころから守ってきたんよ。

そうかぁ…。

番人が現れそうになったら、番人に質問するイメージで「なぜ出てきたのだろう?」とか「出てきた目的はなに?」と聞いてみたらえぇ。
繰り返していくうちに、自分はどういうことを恐れているのか見えてくると思うで。

なるほど。
これが「折り合いをつける」と言うことか。

本当は番人に話が出来るなら、一番えぇんやろうけどな。

確かにそうだね。
むしろ、長い間僕が傷つかないように守ってくれたから感謝したいぐらい。

えぇこと言うな。
その「感謝」こそ、自分の心との折り合いなんよな。

確かにそうだね。
無理にトラウマを乗り越えるより、そっちの方が現実的な気がするね。

番人は、きっとまだお前が「子供」やと思うとるんよ。
大人になった自分を見せて「もう大丈夫や」ってことを、ちゃんと伝えてやればえぇんよ。

そう考えると…。
その番人と別れるのに、何か情が出てきた気が…。

大事なことは「共存」やで。
いつの間にか自分のトラウマが薄れていって、自分なりの成長を感じられる日までな。

さっきの例で言うと「人前で話す」ってことに、恐怖心を感じなくなる時までね。
今までの対処法とは、少し違うなぁ。

「気にしない」とか「根性で克服する」みたいな話が、どうしてもメインになりがちやからな。
トラウマは人それぞれやから、気にならない人には理解も難しいんよ。

「異性の前で緊張する」なんて人がいても、緊張しない人からすればわからないよね。
わからないのに、アドバイスはできないか。

メンタルダウンの仕組みとしては、トラウマに対する番人の過剰な保護が要因やと思うねん。
その番人を無理やり抑えつけたり無視したりするんやなくて、感謝して折り合いをつけていくことが大事やと思うんよな。

新しい解決策だね。
メンタルがしんどくなった人と話す時に、僕もちょっと気を付けてみるよ。

そうやな。
今までとやり方が違うから、なかなか伝わりにくいと思うんで粘り強くな。

わかったよ。



