

最近は『営業』の仕事について話すことが多いのぉ。

うん。
やっぱり、営業の仕事って日本の仕事の中の基本なんじゃないかなって思うんだよね。

それは…前にも教えとるやろ?

結局の所…。
頭が良かろうが悪かろうが「人と喋れるかどうか」って大事だもんね。

まぁ喋るというか…。
『相手のことを理解する』という点に注力していくイメージなんやけどな。

なるほどねぇ~。

で、お前は『営業』っていう仕事を一言で言うとなんやと思っとるん?

え?どういうこと?

辞書で『営業』って調べたとして、そこには何て書いてるって思う?

「相手に働きかけて、相手の必要なものをしっかり提案する仕事」
みたいな感じかなぁ?

…いかにもって答えやな。

なにか違うかな?

自分の考えとしては…。
一言で言うとは「相手がいらないものを売る仕事」って考えてるで。

いらないもの?
…それじゃただの「押し売り」じゃん。

そう聞こえる人は、まだ『営業の本質』に気づいてないってことやなぁ。

いまいち分からないんだけど…。

そもそも商品が売れないのは、商品が良し悪しでも営業マンの笑顔でもない。
売れないのは「相手に必要だと気づかせられていないスキル不足」が原因やねん。

相手に必要だと気づかせていない…?
難しいね…。

難しくないわ。
営業の仕事は『時間軸において、相手の欲しているサービスや商品の背景から本質を掴むこと』なんよ。

なおさら…難しくなったよ。

自分は大体服屋で例えるんやけど…。

うん。

お前が冬物のセーターを買いにある店に入ったとする。
そして、そのままセーターを買って店から出てくる。

まぁ、普通のことだよね。

そこにはほとんど「営業活動」が発生していないのよ。

営業活動?

あぁ。
元々お前が欲しいものを買いに行って、欲しいものを買って出てきてるだけやからな。

…なるほど。確かに。

それに対して例えばお前がセーターを買いに行ったのに、マフラーを買って出てきたとする。

そんなこと実際には…。

無きにしも非ずやろ?

確かに無いこともないね。

偶然にも良い商品を見つけたんかもしれん。その店のセーターが気に入らんかったのかもしれん。
でもそこに店員さんが介在して、色々話をしていく内に「お前の好みやニーズ」にぴったりの商品を提案してくれて、それにお前が『満足』して買い物してきたってことも実際あるわけよな?

確かにありえるなぁ。
…むしろ結構あるかもしれない。

それが『営業の仕事』やねん。
時間軸上では、入店する前は「別に欲しくなかったマフラーという商品」を店員さんの介在によってお前が購入しているわけやろ?
すると、その店員さんは前に対して『営業活動』を行ったことになるんよ。

あぁ、なるほどね。
でも、そういう感じなら割といつでもどこでもあるかもよ?

相手が欲しいものをただ売るだけなら、その仕事は『販売』やねん。
様々な介在を行っていながら『相手の発しているものの背景から本質を掴む』っていう仕事こそ 営業の本質にあるのよ。

難しいね。
相手が「欲しい」って言ってきてないものをただ売れば良い…って話でもないしね。

当たり前やろ。
ただ単純に相手が「欲しい」ってきてへんものを押し売りしてたら、そこには『継続性』が生まれへん。

継続性?

そうや。
「いらないもの買わされた」って感じたその店、お前は二度と行かんやろ?

…確かに。

だから今回のケースでいくと「買ったマフラーに満足して、またその店に行くかどうか」っていうところが、営業活動の成功の可否って言えるんよ。

…奥が深いね。

『相手のニーズを本質からしっかり掴むこと』そして『こちらの提案が相手に必要だと気付かせること』
この2つをしっかりと普段から行っていけば自然と出来る様になるんやけど、まぁそれが難しいんよな。

でも「出てきてない情報から相手を理解する」って、個人的にはなんかかっこいいな。

ははは。
みんなそう思ってくれると「営業」っていう仕事は、外野からもう少しよく見えるのかもしれんな。

そうだね。
