

珍しいですね。
TOMOさんから、お話って。

若い子に「お金」の価値観について、少し聞きたくなってな。
さすがに自分もおじさんやからな。

何について、話せばいいですか?

例えば、最近お金で買えるものとして「権利」と言うものがあるんよな。
行列に並ばなくてもいい権利とか、大学に入学しやすい権利とかな。

有料のファストパスみたいなものですよね?
人気ラーメン店にレジャー施設、転売なんかの本質もその辺りかなぁ…。

そうやな。
それについて、どう思う?

極端に不平等とかは思わないですけど、内容によりますかね。
自分に影響の大きなものであれば、気にはなりますね。

なるほどな。
ただ資本主義社会では、本質的にはそれが当たり前なんよな。

どういう意味です?

「病院の診察を受ける権利」とか「大学に入学する権利」が、お金によって左右されるのはちょっと気になるやろ?
自分に、関係する可能性のある所やからな。

確かに、そうですね。
興味のない飲食店や、レジャー施設の順番に比べると…。

「資本主義の原理」を持ち込む線引きは、世代によって違うと思うんよ。
一方で「需要」と「供給」があるところには、資本主義が発生してしまうんよな。

本来は発生すべきではないところ、例えば「健康」とか「スポーツ」の分野にも影響が出るんですか…。
それは確かに、少し受け入れ難いですね。

その感覚があることが、実際はナンセンスなんよな。
合理的にみるとな。

難しいですね…。

「スポーツ」でもお金のかかる競技には、やっぱり富裕層の選手が多いわけや。
せやから「お金を掛ければよい成績が残せる」というのは、正しいんやけど腑に落ちないんよ。

より良いサービスを受けるのに、お金を払うのは当たり前と言えばそうですね。
でもレジャー施設に並ぶ権利には文句がないのに。病院でそれをやると納得がいかない…。

まさにそんな感じや。
だから最初に聞いたのは、若い人の「金銭感覚」なんよ。

把握されている「金銭感覚」の違いは、どんなものがあるんですか?

割と「サブスク」を受け入れるようにできているやろ?
あとは「フリーミアムモデル」っていう、いわゆる「無料」のゲームとかに「課金」する仕組みな。

それは、結構普通ですね。
わりと小さい頃からそんな感じでしたので、確かに当たり前の様に感じます。

そうではなく「買い切り」で最初にまとまった金額を払う時代で生きてきた人からは、時代の中で変化に対応してきているんよ。
まぁ、未だに変えられない人も多いけどな。

特に大きな違いと言うと、なんですか?

「勉学」に報酬を出す文化と、無意識に「市場」を発見するところ…やな。

テストの成績が良かったら「ご褒美」みたいな話は、昔はなかったんですか?

それはあったけども、今は「成績優秀者やその教師に報奨金」とか「読書目標達成者に賞金」みたいなところまですそ野が広がってんのよ。
「そこまでお金を出すのか!」とか「教育にお金の差をつけるな!」みたいな声がでかくなりすぎて、公立高校無償化みたいに「平等」が広がっていってるんよな。

…そんな背景があったんですね。
「医療」や「スポーツ」、さらには「教育」も確かに「平等」であるべきな雰囲気は感じます…。

お金で釣って、勉強させるのはおかしいという話やろな。
もう一つは「転売」に、その性格が現れとるやろ?

「需要」と「供給」が生まれれば、市場が出来るんですもんね…。
アイドルのサインの転売とかは、私は買いませんけど。

そういうのって「プロセス」とか「経験」に対して価値を持つやろ?
「思い出の○○」なんて、思い出がなかったら何の価値もないのよな。

それでも資本主義的に考えれば「需要」と「供給」の有無が背景なんですもんね。
どちらが正しいのか、わからなくなりそうです。

まぁこの矛盾は、解消されんやろうな。

おかしなサービスに見えても、市場が成立していればいいんですもんね。

一方で「感情」が無い市場は、あまり受け入れられない人も多いわな。
まぁ「お金」で解決できるからこそ「レンタル彼女」なんてサービスが、あるわけやし。

確かに「需要」と「供給」が新たに生まれていますけども、そこに普通のカップルの心理はありませんね。
いろいろ考えさせられます。

そこに目を付けられる人が、市場を開拓していくんよ。
「家事代行」でも付加価値が付きまくれば、自分の技術でどんどん稼げるしな。

だんだんと新しい価値観と、市場原理がくるんですね。
私も、意識していないと。

「良い」とか「悪い」よりかは、そういうものやと俯瞰して世の中を見て欲しいな。
当たり前は、当たり前でないことになる時代やから。

そうですね。



