人事の仕事の一環で、アンケートを取ったんだけどさ。
あぁ。
「不安」を感じている社員が、うちの会社にはちょっと多いみたいなんだよね…。
不安？
何についてや？
いや、その辺がいまいちはっきりしていないというか…。
今回のアンケートの聞き方が悪かったのかなぁ？
で？どう解決するんよ？
うーん、その辺まだ見えてきてないんだよね…。
そもそも「不安」がはっきりしてないものでね。
不安についての見方は、まぁいろいろあるからな。
不安の見方か…。
例えばどんなの？
せやな。
やっぱり『抽象的な不安を具体化』していくことがまず第一かのぅ。
抽象？具体？
そうや。
「なんとなく不安」みたいなのって結構多いから、それが「そもそも何をもって不安なのか」っていうのを一つずつ具体的にしてやるっていうのが必要やな。
ふーん…。
どうやってやれば？
一番基本的な「５W１Ｈ」に直してやることや。
…けっこう基本的なことだね。
「よくわからないから不安」ってことが結構あるからな。
ちゃんと具体化して細かい所を明らかにしていけば、とりあえず手が打てるところが見えてくるからな。
なるほどね。
で、「何か」が出来る様になると、とりあえずの安心感ちゅうのは手に入る。
漠然と抽象的な不安を持っている場合には、その不安がもう少し具体的なステージの形にしてやるってのは大事やな。
うーん、なるほどね。
やっぱり不安ってない方がいいもんね。
いや、そういうわけでもないねんで。
え？そうなの？
短期的な目線で見れば、不安っていうのは確かに解消した方が良いっていうこともある。
けれども、長期的な目線で行くと『不安は成長に必要』なものやからな。
…どういうこと？
「不安」っていうのをさっきは具体化していく話をしたんやけども、今度は逆に抽象化していくんや。
今度は抽象化かぁ…。
不安の根本的な理由は『未来へイメージがない』っていうことやねん。
未来へのイメージがない？
あぁ。例えば今何か不安を持っていたとしても「未来が必ずうまくいく」とか、「その不安は現実のものにならない」っていうのがもし分かったら…。
その不安ってなくなるんちゃうか？
あぁ、確かにそうだね。
未来がよく分かんないから「どうなるか？」っていう不安で持つわけだ。
そういうことや。
面白いね。不安を抽象化した具体化したり。
なんか最近「抽象」とか「具体」ってよく聞く気がする。
結構自分が意識して使っているからな。まぁもう少し詳しいことはまた別の機会に教えたるわ。
話戻すと「成長には不安が必要」なんよ。
あ、さっきも言ってたね。
もし、今の仕事や人間関係がある程度「安定、安心」しているっていう状態だとするで？
うん。
でもそこから「自分の能力を上げる」だとか、「交友関係を広げていく」みたいなところって…。
変な話やけどその「安定、安心」を一回崩さないとあかんのよ。
そうなの？
そりゃそうやろ？
例えばやったことない仕事にチャレンジしてみたら、うまくいくかどうかわからんやろ？
あぁそうだね。
確かにルーティンワークしていれば、安心とか安定っていうところから確かに外れないけど、新しい仕事するとやっぱりちょっと不安とか心配は出てくるかもね。
せやろ？
でもその不安を介した結果、新しい仕事が出来る様になったら人って成長するやんか？
そうだね。
慣れてきてその新しい仕事も充分ルーティンワークみたいな形になったら、また安定に戻るっていう感じやな。
そうか！
じゃあ『安定→不安→成長→安定』みたいな順番なわけだ。
そうやで。
って考えたら「不安って成長に必要」なんよ。
不安に感じるから努力をするし、工夫もするってことかぁ？
だから、成長の基本的なプロセスには不安が付きものっていう認識をした方がえぇで。
自分が今少しでも不安を感じてるんやったら、それは成長の途中にあるからかもしれんしな。
なるほどねぇ。
まぁ一方でその状況が変に長く続くとメンタルが壊れたりもするから、その辺は上手に付き合っていかなあかん。
短期的な不安については、ちゃんと具体化をして問題解決をしていくような姿勢っていうのは大事なんよ。
そうかぁ…。
不安って難しいね。
まあ、長年向き合ってきていて具体的な解決策がないもんやからな。
でも成長に不安が必要だったら、ある程度受け入れる必要もありそうだね。
あ、でも例外もあるんよ。
例外？
そうや。
『夢中』っていう例外や。
夢中ねぇ…。
「夢中」になってると人は今話したプロセスみたいなのはあんま感じんねん。
ただひたすら打ち込んで打ち込んで結果的にものすごい出来る様になっている…みたいな、ちょっとチート的な状態も実際成長プロセスにはあるんよ。
そっかぁ…。
なんか自分もそういう風になればいいな。
確かに仕事でゾーンに入れるんだったら、それに越したことはないけどな。
仕事でゾーンかぁ…。
自分はそんなことあるのかなぁ…？
