

はぁ…。

ため息からの始まりか…。
どうした?

会議とかでさぁ…。
「話が決まりかけていたものが、決まらなくなる」みたいなことって、よくあるじゃん?

まぁ…あるかもな。

今回、それに当たっちゃって…。
結構疲れた感じなんだよね。

もう少し具体的に…どういうことが起きたんよ?

「なんとなく」盛り上がっていた企画があるんだけれども…。

ふむふむ。

話が進むにつれて…。
なんか雲行きが怪しくなってきてね。

雲行き?

「うちの部署はそこまで時間を割けない」とか、「うちの課じゃそこまで人員を出せない」とか…。
なんか「ネガティブな話」が多くなってきてさ。今までうまくいってる感じだったのに…。

なんや、そんなことか。

いやいや、結構大変なんだよ。

そんなの「当たり前」のことやから。

…そうなの?

そうやで。
『具体的になると批判や敵が増える』んや。

うーん…。
どういう意味?

『抽象的』だと味方が多いねん。
ただ、『具体的』になると敵が増えるんよ。

まだ…いまいちピンときていません。

そうやな…。
学生時代にサークルで「何かイベントをする」みたいなところを、とりあえず想像してもらおか?

「学祭」的な感じで、イメージしていいの?

あぁ。それで最初のうちは「何するか」まだ決まってないけども…。
「なんとなく楽しそうなことしようぜ!」みたいなノリやん?

そうだね。

その時点では、参加者から「反対」は普通あるか?

いや、なんかみんなで「楽しそうなことしよう」みたいな段階だと、別に反対する理由なんてないね。

せやろ?
ただ、これが具体的に「何をするか」っていうのが進んでいくと…。

あぁ…。
確かに「なんか思ってたのと違うな」みたいなことを感じたことは、自分もあるかも…。

せやろ?
「思ってたより大変そうやな」とか、「思ってたより負担になるなぁ」とか思うやろ?

実際、「学祭の後はテストあるから忙しいなぁ…」とかも思ってたかも。

まぁ、そんなことは実社会や会社でも起こるんよ。
なんとなく「抽象的で楽しい」とか「会社にいいことがありそう」なんて段階で、『反対』する人ってのは実際はほとんどいないはずや。

確かにそうだね。

でも、それが『具体的』になってきて「コストがかかる」、「負担がかかる」、「費用がかかる」っていう風になってくると…。

今回のように、反対者が出てくるってことね。

そういうことや。

理屈はわかったんだけども…。
どうしたらいいもんかね?

お前は少し『ネガティブ』に考えすぎや。

ネガティブ?

そうや。
これは『抽象』が『具体』に話が進んだってことやねん。

うーんと…?

「批判が増える」とか、「反対者が増える」っていうことは『話が具体化してきた』って裏返しやねん。

あぁ、そういうことね。

だから、会議としては順調な推移なのよ。
いつまでも賛成者ばかりやったら、その会議は進捗していないということやからな。

なるほど。
そういう捉え方があるわけね。

そもそも「全員の賛成を得よう」なんて思ったらあかん。
むしろ、反対者が1人、2人と増えていく中で「最後まで残った協力者」を大事にしたほうがえぇ。

そうか。
そういう風に考えるんだ。

「全員の賛成が欲しい」って思うとストレスになるから…。
ある程度の反対者が出てきたら、『話が進んでいるんだ』っていうポジティブな捉え方をした方が、会議としては健全やと思うで。

そっか。
じゃあ今日の会議は「うまくいった」って考えればいいんだね?

まぁ…実際に上手くいくかは、お前次第なんとちゃう?

…頑張らないと。
