

いや、困ったなぁ…。

…お前はいつも困ってるのぅ。

実際は若手社員が困ってるって感じなんだけどね…。

で、今回はどうして困ってんねん?

ちょっと難しい話なんだけど…。
上司が『あるべき姿ではない』みたいなんだよね。

上司?あるべき姿?
一体何の話や?

結構、若手社員から問い合わせが多いんだけど…。
まぁ問い合わせというか相談。

…それで?

一言で言うと…。
上司が具体的な指示をしてくれないって話なのさ。

具体的な指示ねぇ…。

やっぱり抽象的な指示だと、何かに向かって動けないじゃん?
だから具体的な指示を出してほしいんだけど…みたいな話。

…まぁ『会社の文化』や『上司の考え』は、そうそう簡単には変わらんよ。

そうなんだよねぇ…。
そこが困ってるところなのさ。

ただ、ちょっと気になるところがあるな。

気になるところ?

あぁ。

どこ?

『抽象的な指示』って…そんなに悪いわけちゃうからな。

えぇ?そうなの!?

そうやで。

でもさ…
抽象的な指示ってほら、分かりにくいし。

まぁこう言っては何だけど、意味がなかったり、ただの理屈っぽかったりしないわけでもない。
実際のところそれはあるわな。
『とにかく数をこなせ』とか『根性だ!』とか。

あと『対前年比120%達成』とか『誠心誠意』とかかな?

ま、それも抽象的な一部やな。

うん…。
全然良さそうに見えないんだけど 笑

まぁ…今出てきたような言葉は正直意味もないし、発言者にもおそらく『責任感』はないわな。

責任感?

ああ、そうや。
仮に「一から十まで全部この通りやったら実績出るで」ってノウハウ教えて、仮に完全にその通りやったのにうまくいかなかったら、それはもう上司の責任やろ?
全部教えたんやから。

うん。

でも抽象的に言っておけば…。
まぁ、言い方悪いけど『やった本人の責任』みたいな形で収まることも、やっぱりこの世に実際は多いわな。

イヤだね…そういうの。

一方で、じゃあみんなが望む『具体的』ってどういうことやねん?

それは…
上司からしっかりサポートがあったり、体系的なやり方がもう事前に準備されてたり、行動時には丁寧な説明があったり…とかじゃない?

…なるほどな。

管理職にも、数少ないけど実際そういう人もいるよね?

まぁな。
ただな、そういう人たちの根本にあるのは『優しさ』でもなんでもないんやで?

え、どういうこと?

そういう人たちはみんな、本心は『自分でやらな気が済まん』ってタイプなんよ。

自分でやらなきゃ気が済まない…?

そうや。だから『他人にも自分と同じを強要してしまう傾向』にあるのよ。
人それぞれ得意不得意があって、出来る出来ないもあって…
それが人間らしいっていうところやと思うねんけど、その人たちをそれを許されへんのよ。

えぇ~。
じゃあ仕事の出来が悪かったらめちゃくちゃ怒られる…ってこと?

いや、違うな。
現実的には『出来ない部下』にストレスを抱えて、会社を辞めてまうことがほとんどや。

そう…なんだ。

…みんなかわいそうやと思わんか?

みんな?

その上司のおかげで、まぁ見た目上それなりに仕事ができていた部下達は…。
上司がいなくなったらきっと何も出来へんで。典型的な『指示待ち人間』が出来上がってまうねん。

…なるほど。

これだけAIが仕事代替するって言ってる世の中に…。
『指示待ち人間』なんていらんのよ。

難しいね。

だから本来あるべき姿としては…。
『具体と抽象がちょうどよく入り交じって、ある程度の失敗を許容できる会社』をつくっていくっていう風なことが大事なんちゃうか?

うーん、そっか。

若手の意見も正しい部分があるし、上司の多少がむしゃらに頑張れっていう部分もまぁ間違ってないところもある。
その辺が、組織の難しいところやな。

うん、わかった。
今回の話、自分なりに噛み砕いて若手に話してみるよ。

おー。
がんばりぃ。
