

いや~参った参った。

…なんかまたミスでもしたのか?

ミスかどうかは分からないけど…。
会社として「ぜひ採用したいな」と思っていた学生が、他社を選んでしまったんだよね…。

そうか…。
まぁそういうこともあるよな。

その反省として「何がいけなかったのか」を考えたんだけどさ。

ふむ。

なんかこう…やっぱり『入社の決め手』になるようなポイントが無かった様な気がして…。
もっと「印象に残るプレゼン」をしたり、「福利厚生の充実」を図ったりとやることは多そうなんだよね。

その「心がけ」はとてもえぇことやと思うけど…。

…思うけど?

相手がおる以上は、自分の『好手』が「結果の原因」ばかりとは限らんと思うけどな。

好手?どういうこと?

うーん…。
大事なのは『悪手』を指さないことやと思うねん。

『好手』、『悪手』ってどういう意味?

全体を通して何かの「結果」が生まれた時は、自分の『好手』じゃなくて相手の『悪手』が要因となることは結構多いねん。

うーん。
随分と難しい話っぽいけど…。

そんなことはないで。
自分は将棋が趣味やねんけど、お前将棋指せるか?

まぁ…出来なくはないけど?

将棋の決着は「自分の素晴らしい一手」が原因になることは少なくて…。
相手のミス、いわゆる『悪手』が勝敗の決め手になるっていうことは多いんやけど。

へーそうなんだ。
それが今回の話と何か関係あるの?

関係大ありや。
ビジネスにおいてもさっきお前の言っていた「奇跡的なプレゼン」や、「他社と明らかに違う福利厚生」みたいないわゆる『好手』が原因になることは多くない。

え?

相手企業の『悪手』が原因になって人の判断が決まることの方が圧倒的に多いということや。

そうだったんだ…。

「態度がよくない」とか「なんかイメージと違う」とか、「事前に言ってた話とだんだんずれてきている」とか要因はどこにでもあるんよ。

ふむふむ。

せやから「面接」なんかは、自分はたくさん企業を受けてもらう方が都合がえぇと思ってるで。

そうなの?
普通は他に企業に目移りしない様に「自分のところだけにして!」ってなりそうだけどね?

以前も伝えたかもしれんが、『人は比較しないと決められない生き物』や。
そこを活用すると共に、相手の『悪手』を活かすっていうのも充分戦略やと思うで。

うん、なるほど。
そういう考え方もあるのね。

『起死回生の一手ではなく、定跡的な凡手を指し続けることほど効果的なものはない』っていうことや。

『凡手』ねぇ…。

言葉的にはピンとこぉへんかもしれんけど…。
『誠実に当たり前のことを続ける』って意味やで?

…それは確かに大事だし、大変だね。

そうなんよ。『凡手』を指し続けるってことはとても難しいことや。
でもそれを続けることによって、他が勝手に『悪手』を指してくれるっていうのは結構世の常だったりするで。

なるほど。少し考え方が変わったよ。

まあ、今回に関しては何が原因か分からんけど…。
自分の『好手』を狙うんじゃなくて、『悪手』を差さないってことを意識するのも大事やで。
