少し、時代と逆行しているんだけどさ…。
ウチの会社には「転職しないで長く勤めるつもり」って人が、結構いるんだよね。
喜ばしいんとちゃう？
愛社精神と言うか、何と言うか…。
転職とか会社の業績の停滞なんかを考えると、汎用的なスキルを身に着けることは大事だと思うんだけど…。
逆に同じ会社で長く勤めると考えると、必要な能力って少し違う気がするんだよね。
確かにそうやな。
その会社でしか使えない様な特殊能力も評価されることになるし、あとは力のある人や同僚からの信頼を得ることも大事になるな。
そうだよね。
信頼されるとか、可愛がられるとかも大事だよね。
そうやな。
ほんなら今日は『愛嬌力』について、少し話しようか。
なるほど…。
愛される力、つまり「愛嬌力」かぁ。
場合によっては、業務スキルよりも大事かもしれんのぉ。
しかも社内だけじゃなくて、外部に対してもな。
そうなんだ。
よし、しっかり勉強するよ。
継続的に同じ会社に勤めるとすると、仕事だけが出来れば何でもＯＫ…という訳でもないのが現実よな。
ある程度人から信頼されるためや、上司に可愛がられることも大事になってくる訳や。
まぁ…そうだね。
例えば人事評価も、ドラスティックに成績だけ…とはならないことも多いだろうしね。
成績だけで測れない仕事をしている人も、社内にはたくさんおるしの。
そもそも仕事は個人一人の力ではなく『団体戦』であることが圧倒的に多いんやから、普段から周りとうまくやっていることがプラスに働くことが多いわな。
なるほどね。
確かに、その通りだと思うよ。
それが「対、顧客」になっても、根本は変わらんのよ。
特に最初の印象で『愛嬌力』を発揮できた顧客と、そうではない顧客はやっぱりその後の関係性に違いが出やすいわな。
確かに営業マンでもスキル…というかバリバリ仕事が出来る人って感じじゃなくても、実績を出せる人もいるもんね。
その人は、きっとお客さんから可愛がられているんだろう…って想像がつくよ。
まぁな。
多少の値段やスペック、納期の差なんかやったら可愛がっている担当や、普段から仲良くしている人にお願いしたいってのが人間の性やな。
ここまでは、かなりしっくり入ってくるんだけど…。
…けど？
どちらかというと、若い人なのかなぁ？
「愛嬌力」を重視していないというか、あまり発揮出来ない人が増えている気がするなぁ…。
そうやなぁ…。
確かにあるかもしれないのは、やっぱり「効率化」のやや対極にあるのが「愛嬌力」やからかもしれんな。
「愛嬌力」は「効率化」の反対にある…かぁ。
例えば「オンライン会議」なんかはここ数年で、圧倒的に増えたやろ？
現地に行かずに、相手と効率的に情報交換が出来る。
確かに爆発的に増えたね…。
それでも実際に対面で、その場の温度感を感じながら仕事がしたいって人も間違いなくおるはずや。
そうだねぇ…。
やっぱりある程度出張が可能になってからは、完全ではないけど少しずつ戻りつつあるかなぁ。
効率だけでいけば、間違いなくオンラインの方が「時間」も「費用」も節約出来る。
一方で、どうしても「対面の良さ」っていうのも自分はあると思うとる。
僕もそう思うよ。
でも…若い人はその経験が少ないから、もしかしたら「対面」を、単にコスパだけで捉えてしまっているのかもしれないね。
まぁ物心ついた時から、直接人と会わないでもコミュニケーションがとれていればそうなるかもな。
ただ、感情のやり取りはやっぱり「対面」には叶わないと思うてしまうんよなぁ…。
「愛嬌力」が大事ってことに気付いてもらえれば、少しずつ考えも変わるかもねぇ。
この辺は、ある程度継続して指導していく必要がありそうだね。
まぁ、そんな中で「愛嬌力」をどうやって磨くかって話に移るんやけど…。
基本は『言われたことをきっちりやる』でえぇんよな。
「言われたこと」をやる？
え？そんな簡単なことで良いの？
簡単なことに聞こえるやろ？
でもそれが出来ない人が多いから、出来る人が可愛がられんねん。
そうなんだ…。
でも上司からの指示に従うのが、仕事の基本だと思うんだけどなぁ…。
あぁ…少し違うな。
雑談とかで、例えば「最近行ったおススメの飲食店」とか「読んで面白かった本」、「タメになった体験」とかが出てきたとする。
まぁ…あり得る話だね。
社内だけじゃなくて、社外の顧客ともそんな話になるよね。
その情報に『感謝』して、実際に『実践』して、相手に『報告』しとるか…って話よ。
おススメの本を紹介されたら「お礼を言って」「実際に読んでみて」「感想を伝えとる」という行為を、みんなちゃんとしとるかのぉ？
…それが飲食店だと「お礼を言って」「実際に食べてみて」「感想を伝える」って感じかぁ。
うーん…「実践」と「報告」までしている人は、正直ほとんどいないかもね。
せやろ？
じゃあ「言われたことをきっちりする」っていうのは、みんなそんなに出来ていないってことなんよ。
そうかぁ…。
なんかその場の流れというか、雑談と言うかで流しちゃうことの方が僕も多そうだなぁ。
そこをきっちりやる人間が、相手に可愛がられるわけや。
その積み重ねが、いずれ大きな成果に繋がると自分は信じてるで。
うーん…。
理屈は分からなくもないけど、メリットの享受が見えないとどこかで心が折れてしまいそうな気もするなぁ…。
…確かにな。
そこは、基本的には「Give」の精神の方を勧めたいわ。
Give＆Takeではなく、Giveのみ…ってこと？
そんな感じや。
「いつかメリットがある」って思うて受け入れるんやなく、自分の出来る範囲で「面白そうな話を教えてもらった！やってみよう！」ぐらいで続けるのがえぇと思うで。
まぁ…相手から「情報」をまずはGiveされているわけだしね。
それをそのままにせず、実践していくといずれ良いことがあるかもしれない…ぐらいのスタンスかな？
まぁ無理をすると、しんどくなるからな。
今まで流してきたことを、少しずつ実際にやってみるって感覚でまずはえぇ。
そうかぁ…。
なんか以前に聞いた「尊敬より応援される人」に少し似ている気がするなぁ。素直に正直に頑張っていることにメリットを感じられそうで、実践のし甲斐がありそうだよ。
確かにそうやな。
可愛がられることは、応援されることに近いかもな。
僕にも出来そうだし、早速やってみようかな？
あ…でも、あんまり距離を詰めすぎると部下の指導とか、注意の時に少し足枷になったりしないかなぁ？
それなら『人は褒める』『仕組みを責める』の姿勢が一番やと思うで。
責めるのはあくまで「仕組」で、その人を責めない様にすればえぇんとちゃうか？
そうかぁ…。
まぁ仕事のミスってその人の「スキル」なんかの場合ももちろんあるけど、そもそも「仕組み」に問題があることも多いもんね。
せやろ？
意識することは普段から増えることになるけども、その見返りは相応にあることやからぜひ実践してもらいたいのぉ。
うん！やってみるよ！
