

ねぇ、『数字』って説得力あるよね?

最近のお前はド直球な質問が多いな…。
どういうことや?

別の部の課長なんだけどさぁ。
結構、数字を重視する人なんだよ。

まあ…そういう人もいるわな。

ただ…なんというか数字を見せる「だけ」じゃダメなんだよねぇ。
それだけじゃいまいち納得しない…みたいな性格でもあるんだよね。

ふぅーん。

なんか…その辺のちょっとテクニカル的なところを…。
良かったら聞けたらなぁと思ったんだけど?

それなら…。
人は『絶対値』より『変化』に敏感ってことを覚えとけばええんちゃうか?

絶対値より変化?

お前、野球やってたんやったっけ?

あぁ、むかーしね。

「140キロ投げるってすごいの?」
って聞かれたら、お前どう答える?

140キロ?なかなか凄いんじゃないかな?
…でもちょっと説明が難しいね。その人は野球知ってるの?

そうよな。
その人の『知識』や『背景』って気になるよな?

まぁ…確かに。

そこに『知識』や『背景』を用いないで…。
『変化』を用いて説明してやれば、大体の人はある程度同じ感覚を持つのよ。

うーんと…。
どういうこと?

さっきのピッチャーは元々「155キロ」投げていたんやけど、肩を壊して140キロしか出なくなった。
…って聞いたらその「140キロ」っていう数字は、どのように映る?

うーん。
どちらかというと、「ネガティブな140キロ」っていう数字かもしれないな。

じゃあ元々「120キロ」しか出なかったピッチャーが、投げ方を変えて「140キロ」出ましたって聞いたらどうや?

あー。
今度はなんか伸びしろというか、「ポジティブ140キロ」だね。

せやろ?
こうやって『変化』を見せてやることによって、その数字がどういう風に映るのかっちゅうのは大きく変わるんよ。

確かに比較水準が置いてあると、見え方が違うね。

あとは同じ内容でも、『単位』や『見せ方』を変えるっていうやり方もある。

例えば…どういうこと?

そうやなぁ…。
車を買う時に銀行のローンを使うとして。金利3%と金利1%やったらお前どっち使う?

そりゃ安い方が良いから、1%かな?

まぁ大体の人はそうやろ?
ただ、これが具体的に月々の支払がいくらになるかとして、例えば月々22,000円と20,000円やったとする。

2,000円かぁ。
結構、大きいね。

お前は今2,000円を「大きい」と捉えたけども…。
人によって「大したことない」って見える人だっているわけや。

お金持ちだねぇ…。

いやいや。
「担当者があまり気に入らない」とか「最寄に銀行がない」とか「次にローンを使った時にメリットがある」とか数字に表れない様々なことを考慮したら、2,000円なんて大した差やないってケースもあるやろ?

まあ…それはありえるかな。

それがさっきの3%と1%だと、どうも見えにくい。
だから、見えやすい形に単位を置き換えてやるっていうのも大事ってことやねん。

あー、そういうことね。

ざっくりと「その数字だけ」を見るんやなくて、「別の数字と比べてやる」とか「別の単位に置き換えてやる」ってことや。
単純な『絶対値』じゃなくて『変化』を用いることで、相手の受け取り方は変わってくるんや。

そうかぁ。
課長にもそういうふうに伝えれば、受け取り方は違うわけかぁ。

「数字」は確かに分かりやすいけども、それだけじゃ力を発揮せぇへんこともある。
「並べ方や見せ方によって印象が変わる」ってことは、頭に入れといて損はないと思うで。

うん、今日も勉強になったよ。
ありがとう。
