

「採用責任者としての、意見はどうかね?」

なしたん?
…お前、採用責任者ちゃうやん。

いや、そのはずなんだけど…。
役員の人からはそう見えているみたいで…。

採用の裁量を平社員が持つって、とんでもないな 笑

まぁ…。
1次選考の結果で落とすのとかは、自分が決めているから…。

確かにな。
で、何を述べなきゃあかんねん。

会社は「どんな人を採用するのか」を体系化したいそうです。

はぁ~。
それはまた難問やな。

そうなんだよねぇ。
もし「〇〇です」って言えたとしても、そこから説明もしなきゃいけないしね…。

先ずは会社の価値観揃えなあかんと違う?
今までの価値観に寄り添うのか、路線変更か。

そうだねぇ…。
やっぱり既存の価値観を変えるのは、難しいよね?

そりゃな。
採用したくて5年間上手くいかなくても、採用のやり方や会社の価値観を変えない会社もザラやからな。

そうだよねぇ…。その辺は、もう少し考えないといけないかも。
ウチの会社、いちおう採用は出来てないわけじゃないし。

価値観を変えるには、大きなショックみたいなもんが無いとな。
個人で言うと『絶望』クラスのきっかけがな。

「絶望」かぁ…。
かなり強い言葉だね。

それくらいの何かが無いと、会社の価値観なんて変わらんのよ。

逆にさ、今の価値観がどうなのかを測る指標みたいなのはないの?

今の価値観の立ち位置をか?それもまた難しいこと言うな…。
とりあえず一つの解釈だけで突き進んでないか…を知りたいかのぉ。

一つの価値観?

自分の持論やけど、物事の解釈には『正しさ』を求めたらあかんと思うとる。
物事には良し、悪しはない。「それについてどう思う」かはあってもな。

そうなんだ。
まぁ、TOMOみたいにいくつも視点を持つのは、結局そういうことだよね。

「コップに水が半分入っている」これをどう思うか。
有名な話やな。

…確か「半分『しか』入っていない」じゃなくて「まだ半分『も』入っている」って解釈する人の方が、良い評価なんだよね。

だから、それがちゃうって言ってんねん。

え?

「半分『も』って言う人」が〇って価値観になってるやろ?
どっちの解釈も、そこまで至った理由や考え方をちゃんと確認せな。それが甘いんよ。

そ、そっか…。

半分『も』を少し神格化しすぎなんよ。
結論をどこかで見かけて、覚えてたら誰でもそう言うやろ?

まぁ…確かにそうだねぇ。
難しいねぇ、価値観の変更って。

まだ、会社の価値観を変えるかすら決まってないやろ?
でも採用に過去の成功体験がある分、価値観の変更には繰り返しになるけども、大きなきっかけが必要そうやの。

やっぱり、過去の成功体験に引きずられるもんね。

まぁな。悪いわけじゃないけど『もう戻れない過去の状態』もあるわけやからな。
「今は今。過去は過去」って、割り切ることが必要な場面もあるやろな。

うーん…。とりあえず、今回は会社の価値観を変えずに考えてみるよ。
えーっと会議でみんなが言ってたのは…。

会議では、それなりに意見は出たわけか。

うん。
「能力のある人、会社に馴染む人、長く働いてくれる人、給与が安くても働いてくれる人…。」

ちょ、もうえぇわ。
…超抽象的やん。

そうなんだよ。
これを、体系的にしたいんだよねぇ。

…これはしんどいな。
まぁ、とりあえず「逆張り」してやってみよか?

逆張り?

要らない人材、つまりはお前の会社には馴染まないであろう人材を固めるんや。

…なんで逆からいくの?

普段の会社内でも、聞くやろ?
「○○はここがあかん」とか「××はもっとこうして欲しい」とか。

…確かに。

そこもヒントに構築していくんよ。
んで、その逆がめでたく「欲しい(であろう)人材」や。

なるほど。
そうだねぇ…。思いつく限りだと「会社への愛が足りない」とか「何回言っても分らん」とか「自分からも学ぼうとしない」なんてのは聞くかな。

最初のは「帰属意識」かぁ…。
難しいとこなんよな。

そうなの?

優秀な人材には「残って欲しい」やろ?
でも単に会社にパラサイトする奴もおる。

そうだねぇ。
まぁ、そんな感じの人もやっぱりいるみたい。

仕事出来ない奴は、集団から弾き飛ばされるのを恐れて自分を大きく見せたがるねん。
「出来ない」てことを、正しく評価されたくないからな。

ふむふむ。

だから話がでかい奴とか、言行不一致の奴には要注意やな。
会社への帰属意識やなくて、寄生意識になってもうてるからな。

なるほどねぇ…。
「何回言っても分らん人」とか「自分で学ばない人」は少し似てるかも。

…まぁ、何回も言っても分からないなら「そもそも、伝え方も間違ってるんちゃう?」って思わんでもないがな。

ちょっと…プライド的なのが高いのかな?

かもな。
自分が成長途上っていう自覚が少ないんやろな。伸びしろが少なそうや。

ここから考えると…。
うちの会社には『素直で謙虚に学び続けられる人』が向いているのかも?どう?この分析。

あほか。
大体の会社はそうやろ。

あ、そうか…。

まぁえぇわ。『素直で謙虚に学び続けられそうな人』をベースに採用の体系化進めよか。
残りはまた今度や。

わかったよ。
それまでに僕も考えてみる。
