

ねぇ?
「やる気」って大事なのかな?

やる気?

そうそう。やる気。

まぁ…どちらかというと大事になるんちゃう?

はぁ…。
やっぱりそうかぁ…。

まぁ…別になくてもいいんやけど。

え?
そうなの?

…お前は人の言葉に一喜一憂するな。

いや、他部署の上司から「もう少しやる気を見せろ」みたいなちょっと指導を受けたもので…。
自分は「そんなにやる気ないかな」と思ってね…。

…別にお前が「特別やる気ない」と思わんけどな。

…そう?

あぁ。
少なくとも自分の話をこうやってそれなりに聞いて勉強している点から見ても、まぁまぁそれなりやと思うけどなぁ。

あー。
確かにそうかもね。

単純に「見え方」の話になるんちゃう?

見え方?

熱意だけで中身がない奴も、実際おるやん?

まぁ…確かに。

でも、それでも上手くいく時があるっていうのが面白いところでもあるんやけどな。
『熱意』は仕事や日常生活においても大事やし。

そっかぁ…。

例えを用いて説明すると…。
「裁判官」なのか「弁護士」なのかみたいな視点でええんちゃうかの?

…どういうこと?

「検察官」とか「弁護士」って、「裁判官」と立場が違うんよ。

…まだよく分からないんだけど。

「検察官」は、主に被告人が有罪であると信じて全力を注ぐやろ?

うん。
そうだね。

で、逆に「弁護士」は被告人の量刑を最小化するもしくは極端力減らすために全力で行動するやろ?
まぁ、かなりざっくりとやけどな。

まぁ…。
そんな感じなのかな?

めちゃくちゃ極端に言うと…。
検察官は被告人のマイナスの部分を追い求めるし、弁護士は被告人のプラスの部分を求めるってことになるよな?

ふむふむ。

どちらかに偏った情報は感情を生みやすいんよ。
ポジティブならポジティブ、ネガティブならネガティブって具合にな。
だからさっき言った「熱意のあると感じさせる人間」は『弁護士や検事タイプでの説明』をしているってことになるな。

なるほど…。

一方で、裁判官は『客観性』の方が大切になる。

客観性?

検察官と弁護士からプラスとマイナスの両方の話を聞いて、「どちらが合理的なのか」っていう判断する必要があるやろ?

あー。
確かにね。

もちろん人間やから、そこに感情が全く乗っからないとは言わん。
けど、いろんなデータとか状況証拠とかそういうのも含めて広い視点で判断せなあかん。

僕は…。
どちらかというと「裁判官型」なのかなぁ?

まぁ、もしかしたらそうなのかもな。
ただ、これはどっちが良いとか悪いではなくて、人の性格だとか状況によって向き不向きや有利不利っていうのがあるわけよ。

つまりは…。
今回の例でいくと他部署の上司は『弁護士型』で、『裁判官型』の自分がの言動にあまり熱意が無い様に見えた可能性もある…ってことかなぁ?

あくまで可能性やけども、そうかもしれん。でも繰り返しになるんやけども、どっちが特別優れているわけでもないで。
それに一人の人間の中に「弁護士的な行動する部分」と「裁判官的な判断をする部分」両方持っていたって良いわけや。
人を動かすには『熱意』は間違いなく必要な要素や。『論理』だけではそうそう人は動かんから、裁判官的な視点が必ずしも絶対ではないってとこにも注意が必要や。

「そこに優劣はない」ってことね。

熱意も論理も使い方次第や。
自分がどう見えるのか、自分は何が得意なのか、この状況ではどうしたらいいのか、そういうのも含めてうまく使い分けられるバランス感覚が必要になってくるで。

なるほどね。
じゃあ今度は、その上司の前で「弁護士的な自分の一面」を見せられたら印象変わるかな?

まぁやってみる価値はあるんちゃう?
…どうなるかは知らんけどな。
